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年収と運動習慣の関係

年収が高い人がもっている運動習慣


 

年収が低い人に比べ、高い人のほうが運動習慣がある人が多いことが分かっています。

 

厚生労働省が実施している国民健康栄養調査(平成30年)によると、運動習慣のある人の割合は、年収200万円以上400万円未満の男性では29.4%だったのに対して、年収600万円以上の人では39.3%と、年収の高い人の方が3割以上も運動習慣をもっている人が多かったという結果が出ています。

 

また1日に歩く歩数で見ても、年収の高い層のほうが低い層に比べて、平均値で上回る傾向にありました。

 

年収の高い人のほうが自家用車を持っていたりして、歩く歩数は少なそうなのに、なぜこうした現状があるのでしょうか。

 

ポイントは、これが単発での運動ではなく、”運動習慣”という点にあると思われます。

 

年収区分と運動習慣のある人の割合について、年収の高い群のほうが運動習慣を持っている人が多い
厚生労働省「平成 30 年国民健康・栄養調査結果の概要」より作成

運動習慣のある者とは、1回 30 分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している


運動習慣とビジネスで成果をあげるための資質の関係


 

世の中の多くの人が、社会人になってからも一度は運動を始めようと考え、また実際に始めたことがあると思います。

休日にランニングをしてみたり、スポーツジムに入ってみたり、自宅で腕立てや腹筋を始めてみた人もいるかもしれません。

 

しかし、そうしてせっかく始めた運動も、なかなか継続できなかったのではないでしょうか。

そう、運動は始めることより続けることのほうが難しいのです。

 

一方、ビジネスの世界において成果を出すためには、着実に粘り強く継続する、やり抜く、ということが非常に重要な資質であると言われています。

 

GRIT(グリット)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

GRITは、「やり抜く力」「完遂力」のことで、

 

 

Guts(ガッツ):困難に立ち向かう「闘志」

Resilience(レジリエンス):失敗してもあきらめずに続ける「粘り強さ」

Initiative(イニシアチブ):自らが目標を定め取り組む「自発性」

Tenacity(テナシティ):最後までやり遂げる「執念」

 

 

この4つの頭文字をとった言葉です。

 

 

米国の心理学者アンジェラ・リー・ダックワース(Angela Lee Duckworth)氏が、アスリートやビジネスマン、経営者など、さまざまな分野の「成功者に共通する力」として提唱し、大きな注目を集めました。

 

成果を出すビジネスマンや経営者は、やると決めた事は結果が出るまで継続してやり遂げます。

 

運動習慣についてもこのGRITが必要とされます。

多くの人にとって難しい運動習慣を身につけることと、ビジネスで成果を上げることは、共通する要素があるのです。

 


運動習慣で「やり抜く力GRIT」を高める

 

経営者は何かしらのスポーツを継続的にやっている人も多くいます。

 

例えば過酷なスポーツで知られるトライアスロンも経営者が多く参加しているといいます。トライアスロンで結果を出すことは、過酷なスポーツである分、大きなチャレンジです。そして、走る、泳ぐといった継続的で地道な努力を必要とします。

 

先に上げたGRIT(グリット)も、アンジェラ教授は、成果を出す力は才能やIQではない、と言っています。

センス以上に、チャレンジする心と地道に積み上げるプロセスという、経営者が持つ資質が成果に繋がりやすいスポーツが、例えばトライアスロンということなのかもしれません。

 

経営者はハードワーク、人脈構築のための会食や飲み会、精神的なストレス等々、健康に悪影響を与える生活を余儀なくされる場合も少なくないため、優秀な経営者は自分の心と体のメンテナンスにしっかり時間を割きます。

 

そうして、病気にならないようにする健康を保つために運動を取り入れることも非常に有効ですが、さらに進んで、経営者として成果を出すための能力「GRIT」を積極的に高めるための手法として、トレーニングや様々なスポーツを習慣にするというのは、効果的なひとつの方法だと思います。


【参考文献】

厚労省 平成 30 年 国民健康・栄養調査結果の概要 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08789.html




笠井 篤

うぇる・なす共同代表

「がん治療」新時代WEB 運営者・編集長

 

医療・ヘルスケア分野専門の情報メディアを運営。編集者としても多くの医師や専門家を取材し、治療や予防医学に関する記事を執筆、編集している。特にがんの予防・早期発見を広く啓発し、がんになる人、亡くなる人を一人でも減らすことをミッションとしている。